理事長所信

一般社団法人池田青年会議所   第61代理事長 今藤 武勇

<はじめに>

 一般社団法人池田青年会議所は、1963年に全国で240番目のLOMとして誕生し、先輩諸兄からの熱き想いと高き志が脈々と受け継がれ、本年度創立60周年を迎えます。我々の歩みは、ひと時も止まることなく、「明るい豊かな社会」の実現を目指し、池田のまちと共に成長してまいりました。
 この60年間で我々を取り巻く環境や生活様式は、技術進化と共に発展してきました。その一方で日本では人口減少や少子高齢化による地方の衰退や、地域コミュニティの希薄化など様々な課題が残されています。そして2020年初頭から続く新型コロナウイルス感染症に対し、新しい生活様式へと変化させることにより、日常を取り戻そうとしておりますが、住民同士の交流の減少や経済的な課題は残っています。また昨年起きたウクライナにおける戦争は、人々に悲痛な想いや人道危機をもたらせるだけでなく、世界経済全体の成長減速とインフレの加速を引き起こしています。今一度我々は戦争の無残さに向き合い、平和とは何かを考えなければなりません。世界規模の急激な変化にさらされた現代において、青年会議所が地域での課題を解決し、より良い社会をつくることこそが我々に課せられた使命です。それを果たすためには、創立から変わることのない先輩諸兄の精神を忘れることなく、我々が夢描く最高の未来を創造し、後輩たちへと紡いでいくリーダーにならなければなりません。
 本年度、一般社団法人池田青年会議所は「不易流行~我々が未来を創造するリーダーであれ~」をスローガンに掲げ、創立より受け継がれてきた伝統を重んじ、組織を時代に即して進化させ運動を発信し続けることで、人々が未来に希望をもてる池田を創造する運動を展開してまいります。

<未来へつなぐ組織の強化と魅力の発信>

 青年会議所はその名の通り、会議からすべてが始まります。その活動はすべて定款規定に基づく厳格な組織運営を通して会員の会費を適切に支出し、ルールに基づいた闊達な議論を重ねて展開されてまいりました。この仕組みが脈々と受け継がれることにより、より良い活動や運動が繰り広げられ、長い歴史を刻み続けております。
 メンバー一人ひとりが、会議体での人の役割や仕組みの意義を理解することで自身の能力を最大限に発揮し、組織全体の基盤をより強固なものへとつなげることができます。メンバー全員が組織の活動や運動に参加するために池田青年会議所も少しずつ形を変え、時代に適応した手法を模索し、次世代へと継承してまいります。
 また、池田青年会議所は創立以来様々な運動を展開し、これまで多くの市民に我々の活動や運動を知っていただくために発信をしてまいりました。広報活動を通じて着実に認知度が高まっていることは実感できますが、さらに多くの方々にまちを良くしていくことに賛同していただき、同じ志を持つ仲間を増やしていく必要があります。我々の魅力を知っていただくためには、蓄積された手法を用いて戦略的に発信し、今の時代に有効な広報が必要であると考えます。そのために様々なツールを駆使しながら、情報の収集、分析、発信を行い池田青年会議所の認知度向上に努めてまいります。

<会員拡大と人財育成>

 池田青年会議所を未来へと紡いでいくためには、同じ志を持つメンバーの拡大が必要不可欠です。そのためにはメンバー一人ひとりがこの組織で成長できること、生涯を通じた仲間ができることを実感しなければなりません。
 青年会議所がメンバーに与えるものはなんでしょうか。個の力は小さくとも想いをひとつにした組織力は、地域に大きな力をもたらします。そして事業に対して真剣に話し合う仲間と出会うことで、人のためを想い行動する大切さを学ぶことができ、この協働する力を自らの社業にも活かすことで、地域活性へとつながります。
 このように自分自身の成長を実感したメンバーが、この組織の良さを人に伝えることでメンバー拡大へとつながると考えます。まずは一人ひとりがこの組織で得られるものを認識し、積極的に会員拡大をしてまいります。

<夢描けるひとづくり>

 豊かで便利な時代は私たちに、人とのかかわり方や遊び方に変化をもたらせました。その一方で、様々な制限やルールが設けられ現代の子供たちは「自由にしていいよ」と言われると思考が停止してしまうといいます。この原因は自由に好きなことをする経験が少なく、物事には決まった手順やマニュアルがあることが当たり前になっており、親世代も「自由」と言われてどのようなことができるのか、我が子に伝えることができなくなってきています。その結果、子供たちは主体的に行動することができず、諸外国と比べ自尊感情が低下し、将来への夢を描く力が不足しています。
 子供たちの感性豊かな人間性を育むためには、子供の持つ力、成長する力を信じ、お互いを大切にすることを学ぶ機会の提供をしなければなりません。
 我々は積み上げてきた経験を基に、子供たちが将来への夢を描くことのできる人財へと導いてまいります。

<60周年を迎えるにあたって>

 本年度60周年を迎えるにあたり、行政、企業、各諸団体や市民の皆様に我々の運動に対するご理解とご協力に感謝を込めて、55周年の運動指針に基づき5年間の検証を行い、今後どのような運動を取り組んでいくべきかを昨年よりメンバーで話し合ってまいりました。その中で「想いやり」をテーマに「人とひと、人とまちが想い合う池田の創造」を実践し、希望ある未来を描き、市民が主役の誰もが輝ける池田を目指すことが今後必要と捉えることができました。その想いを一人ひとりが持ち65周年に向けて邁進できる1年にしてまいります。

<結びに>

 青年会議所は成長のきっかけを与えてくれる場所です。入会当初、飲食店の店主だった私は定例会に参加することも難しい状況でした。しかしながら、青年会議所での学びや仲間との出会いは、JCに参加するための勇気や決断をもたらし自分自身と会社の成長へと導いてくれました。毎年変わる担いの中で、その関わり方は自分で決めることができます。自分を成長させようと少しでも努力すればそれに見合ったものが必ずついてきます。40歳までという限られた時間の中で、与えられたチャンスに仲間と共に本気で向き合うことで必ず成長があります。
 青年会議所が目指す「明るい豊かな社会」の実現とは、その時代によって変化し、我々はそれをずっと追及してまいりました。そのような組織はこの社会において不可欠な存在であり、市民の皆様からも必要とされなければなりません。創始から続く想いや志のバトンをしっかりと受け止め、我々の世代がそこに色をいれて次世代へとつないでいく、そんな想いを一人ひとりが持てる1年を目指してまいりましょう。  

一般社団法人池田青年会議所

第61代理事長 今藤 武勇